今日の心がけ~職員のスピーチ~

読書の軸

2018.08.08

『武士道』の著書で、かつて五千円札の肖像にも採用された新渡戸稲造は、十代の頃から大変な読書家でした。
歴史、地理、伝記、政治、経済などに関する書物を手当たり次第に読破したそうです。
「読書は一生の宝」だといわれますが、新渡戸は、多読の結果、書物が早く読めるようになったという利益はあったものの、
「いくつかの不利益を蒙った」と後に振り返っています。

その一つは、あれこれ区別なく手当たり次第に読んだことで、思考が粗雑に流れて、緻密さを欠くようになったこと。

もう一つが、様々な考え方を知ることにはなったが、
それによって、これという自分の考え方がなくなってしまったことだと書いています。
時代がどのように変わっても、世の中に流されないような自分の考えの基軸を持つことは、
仕事の上でも、生きていく上でも、必要なことでしょう。
そのためにも、時には自分の読書の仕方を振り返ってみることも大切です。

今日の心がけ◆ふれない芯を持ちましょう
『職場の教養』(社団法人倫理研究所)

“活字中毒”という言葉があります。

そのような方は、常に文字に触れていないと落ち着かなく、
適当な読み物が無いと、物品の取扱説明書や広告の説明書きなども目が追ってしまうそうです。
ただ、実際には中毒や病気の類ではなく、文字に触れることを趣味としている人たちだそうです。

新渡戸稲造は、著書「読書と人生」の中で、
“多読病”の人は、話をしても脱線ばかりで何を話しているのか分からず、人間そのものがつまらなくなり、何をしても特徴がない、
というようなことを書かれています。
今で言う“雑学王”のような人のことかもしれません。

私は、絵を鑑賞したり、写真を見たり、風景を眺めたり、そのような感覚で文字に触れていると思います。
それは、興味のあるものや、目的があってそれに関係するものでなければ、頭に入りません。

“読書家”や“読破”などという表現で、たいそうなことのように受け止められがちですが、
“好きだから”、“必要だから”という意志があって、初めて読むことの意味があるのかと思います。

このように自分の軸を持って、常に変化し続ける世の中へ柔軟に対応できるよう心掛けたいです。

事務局 係長(進路支援担当) 中村 周

OPEN CAMPUS

オープンキャンパスの日程を見る

受験生向けのお知らせ

一覧で表示

在学生向けのお知らせ

一覧で表示

閉じる
閉じる
閉じる