今日の心がけ~職員のスピーチ~

薮入り

2022.06.27

江戸時代に広がった風習に、「薮入り」というものがあります。
旧暦の一月十六日と七月十六日がその日に当たり、商家などで住み込みで働いている奉公人が、実家へ帰ることができる日でした。
昔は奉公人に定休日はなく、年に二回だけ、実家に帰る日を与えられたのです。奉公先の主人は、奉公人に着物や小遣いを与えて実家に送り出し、実家では両親が、子供のためにご馳走を作って、楽しみに待っていたそうです。
古典落語の「薮入り」は、長屋の熊五郎の息子・亀が、三年ぶりに奉公先から帰ってくる話です。
熊五郎は、息子の帰りが待ち遠しくて落ち着きません。
食べたいものは何でも食わしてやれ、日本中あちこち連れて行ってやれ、などとおかみさんに言います。
実際に帰ってきた息子はすっかり大人びて、親は胸が詰まって涙で顔を見られない・・・と話は続きます。
昔も今も、親が子を思う気持ちは変わらないものです。
わが子に久し振りに会うのであれば、なおさら世話を焼くたくなるのが、親というものなのでしょう。

◆今日の心がけ◆両親に思いを馳せましょう
(『職場の教養』:一般社団法人倫理研究所より)

子供の頃は、親は当たり前にいて、普段は怒られたり、注意をされたりして、疎ましく思うこともありましたが、自分が困ったり、病気やケガで辛いときには、必ず助けてくれる頼もしい存在だと思ってました。
ですが、ある日突然、親が「いて当たり前」の存在ではないことを体験すると、その存在がどんな時でもとっても有り難かったことに気付きます。

親の心は親にならないと分からないと言われますが、親としての心は分からなくても、親が自分にどのように接してくれたか、どのように話してくれたか、どんな顔をしていたかなど、思い出すことで思いはちゃんと伝わってきていると、私は思っています。
なかなかそのことで親と話すことはありませんが、日本には父の日や母の日という、丁度良くかこつけることができる日がありますので、その時に出来るだけ感謝を伝えられたら良いなと改めて思いました。

このお話では、奉公先から帰ってくる息子を迎える親の、待ちわびる気持ちに思いを馳せていますが、奉公先の親代わりのご主人が、久しぶりに実家に帰る子が不自由しないように、小遣いや着物を持たせてることも、親心なのではないかと思います。
薮入りは、本来は嫁が実家に帰る日だったそうです。

今では、コロナなど特別な理由がなければ、帰省は年に何回でもできて、嫁ぎ先と実家を日常的に行き来できたりしますが、昔は年に2回だけだったので、両親も子ども自身も、帰省の日の特別感は今の私には想像も出来ないくらいだったと思います。
今は薮入りという特別な機会はありませんが、たまにでも帰れる場所があることや、待っていてくれる人がいることの有り難さを改めて考え、思いを馳せることで、自分の存在を大切だと思ってくれている人が居ることに気付く機会になると良いと思いました。

庶務係 大澤

そうですね。
かつては嫁や奉公に出た者はお盆の時期と正月にしか実家に帰ることができなかったのですね。
戦後復興でにぎわった昭和の時代、毎年暮れやお盆の時期になると恒例の帰省ラッシュで上野駅や東京駅の外まで並んで列車を待つ風景がアタリマエでした。
冬の寒い中、夏の暑い中でも心はワクワクで皆笑顔があふれていました。
この時期はまだ「ふるさと」や「父母」への思いが現在とは違っていたのでしょうね。

それが飛行機や新幹線、そして自家用車がアタリマエになったいつの頃からか、次第にこのワクワクドキドキの恒例行事も消えていきそうです。
今では長期・短期の休みもあるし、親に会いたい、実家に行きたいと思えば、いつでも、すぐに行くことができますからね。
いつでもすぐに会えるから、スマホで顔を見て、声も聴くことができるから・・・とついつい・・・。
特に今回の「コロナ禍」でこの状況は一層進んだようです。

人は困難を乗り越えた時に喜びもひとしおですが、安易に手にすることができるものに対しては喜びもさほど感じません。
この帰省が年末やお盆の高速道路や新幹線の混雑がTVで放映されていても、まさにそのようになりつつあると感じます。

「自分がしたとおりのことが、後に自分がされることである」と言われます。
この落語や親に対して感謝をすることの大切さの話のように、まずは父母をはじめ身近な人に感謝の気持ちを行動で伝えていきたいですね。

本学の学生は「信頼される保育者」を目指しています。
この「人やモノやコト」に素直に感謝し、行動できるようにわれわれ教職員から範を示していきましょうね。

藤田

OPEN CAMPUS

オープンキャンパスの日程を見る

提携アパートのご案内

受験生向けのお知らせ

一覧で表示

在学生向けのお知らせ

一覧で表示

閉じる
閉じる
閉じる