今日の心がけ~職員のスピーチ~
年末年始の過ごし方
2022.05.18
今年の年末年始はどのように過ごす予定ですか。
旅行に行く、子供や孫を迎える、家でゆっくりするなど、様々な予定があることでしょう。
二〇一六年に株式会社アスカネットが行なった調査によると、「年末年始に帰省するか」という質問に、既婚者の約七割が「帰省する」と回答しています。
また、アンケート結果からは、配偶者の実家への帰省は「気が重い」と思っている人が少なくないことが窺えます。
その要因には、義理の両親や親戚との会話に不安があったり、家事の手伝いに気を遣うことなどがあるようです。
通信技術の発達により、遠方にいても連絡が取れる時代になりました。
その一方で、互いに顔を見てのコミュニケーションが希薄になりつつあります。
仮に父親が六十五歳だとして、日本人男性の平均寿命である八十一歳まで生きたとすると、年に一度、三日間帰省しても、父親に会える日数は五十日もありません。
親戚なら、さらに会える日は少ないでしょう。
普段なかなか会えない人、大切な人に、会いにいってみませんか。
今日の心がけ◆親族との交流を深めましょう
「職場の教養」(一般社団法人倫理研究所より)
実家を離れて暮らしていて、今まで年末年始に親元にいなかったことは、二度ありました。
まだ若い頃で、故郷とは違う年越しを体験したいという単純な理由でした。
それだけ、お盆や正月に親と共に過ごすことは、当たり前の習慣でした。
今となっては、親の事情で毎月のように帰省していますが、改めて考えると、自分の家庭を持っていない動きやすさがあるからこそ、このようなことができるのかと思います。
多くの人は、親のことより子のことを優先するのではないでしょうか。
配偶者の帰省についても、生活スタイルの変化で、義理の実家へのためらいがあると聞くようになりました。
親の世代としては、寂しく感じるかもしれません。
親のお陰で今の自分がいます。
故郷を離れて暮らしていると、その感覚が鮮明になり、何かあったらいつでも駆けつける構えでいます。
それが人を思う心で、親子に限らず、他人を思い遣るという欠かせない大切な気持ちなのかと思います。
係長(教務係) 中村 周
①そのとおりですね。
かつては1m~3m程度であった人と人との距離が現代は30cmになっているといわれます。
これは、エドワード・T・ホール博士が「かくれた次元」で述べている対人距離のことではありません。
スマホに囚われた現代人の対人距離、スマホを見続けるスマホの画面と人の顔の距離なのです。
アンデシュ・ハンセン 久山葉子(訳)の「スマホ脳」には、スマホ依存で人間が変化していくことが記されていますので、読んでみてくださいね。
コロナ感染症拡散の影響でこのスマホ郷里は一層加速されましたね。
新幹線も航空網も整備され、郷里までの時間や労力はかなり軽減されたこの時代に郷里が遠くなっているのは皮肉ですね。
今や「スマホでの里帰り」がアタリマエになる時代なのかもしれませんね。
かつて、人は人との距離関係で相手の温もりを感じていたものが、今ではスマホの熱を感じるだけになっています。
「孝行したいときに親はなし」は、若い時代から常に意識しなければならないと思います。
それでは孝行とはどのようなものかと考えた時に、「ジブラルタ生命保険株式会社」の「子どもにしてほしい『親孝行」』」調査結果がありました。
第5位「孫の顔を見せてくれる」、第4位「話し相手になってくれる」、第3位「一緒に旅行をしてくれる」、第2位「一緒に外食してくれる」、第1位「元気な姿を見せてくれる」です。
1~5位のどれを見ても、親が「して欲しい」と思うのは豪華な「物くれる」ではなく、共に「いてくれる人」なのです。
アイデンティティ喪失の危機が言われているこのような時代だからこそ、、折々に故郷を訪れてみたいものですね。
藤田
②正月や盆などいろいろな行事や祭りがありますね。
祭りの本来の目的は神様・仏様に感謝することであり、祭りは祀るから来ていると言われます。
この祭りは「ハレ」つまり「非日常」であり、華やかに執り行うことで「ケ(日常)」との区切りをする意味があるのでしょう。
そこには家族や親族、地域の人々が一堂に会し、お互いの安否を確認する意味もあったと思われます。
これは家族やコミュニティーを維持するために重要な機会ともいえるでしょうね。
今では想像できない昭和30年代、長時間並んで乗り込む「超満員の帰省列車」で盆と正月に故郷に帰って親や親戚に顔を見せる風景がありました。
これは戦後の復興が加速された時代に、中学や高校の卒業生が東京や大阪を中心に「集団就職」で働き始めた若者達が多くいたからです。
この2~3年はコロナ感染症の影響もあって、オンライン帰省が増えたと言われていますが、これも元の対面帰省となるでしょう。
何故かと言えば、故郷は匂いや音・色など五感すべてで感じるものですからね。
子どもの頃過ごした故郷が、そして親がどれだけ大切であるかは、失ってみなければわからないかもしれません。
しかし、そうならないうちに、今からでも親が生きている間は祭りという機会にぜひ故郷へ帰ることを勧めます。
「孝行をしたいときには親はなし」
世界の難民(今はウクライナの報道が)の人々が置かれている状況を見ても、分かることだと思います。
保育者になる本学の学生にもこの季節の行事と人の営みとの関係を十分に理解させていきたいですね。
藤田