今日の心がけ~職員のスピーチ~
本の日
2021.05.13
四月二十三日は、ユネスコにより指定された「世界本の日」です。
また、国際連合の国際デーとして「世界図書・著作権デー」にも指定されています。
もともとこの日は、スペインのバルセロナを中心とするカタルーニャ地方で、伝統的に「本の日」として祝われる「サン・ジョルディの日」でした。
サン・ジョルディは、カタルーニャ地方の守護聖人です。
獰猛なドラゴンと勇敢に闘い、勝利した騎士サン・ジョルディの姿を、かつてカタルーニャの自治や言語を禁止した独裁政治と闘う人々の精神に重ねたといわれています。
この日、バルセロナの街には、花や本の市が立ち、男性は女性に愛のシンボルとして薔薇の花を、女性は男性に知性のシンボルとして本を贈ります。
また、四月二十三日が『ドン・キホーテ』の作者・セルバンテスと、イギリスの劇作家・シェイクスピアの命日であることにもちなんでいます。
日本では今日は「子ども読書の日」となっていますが、大人の私たちも本に親しみたいものです。
今日の心がけ◆読書を楽しみましょう
「職場の教養」(一般社団法人倫理研究所より)
この中に、「男性が女性に薔薇の花を贈る」ことが紹介されていますが、カタルーニャでは、もともと男女が薔薇の花を贈りあう風習があったそうです。
サン・ジョルディが退治したドラゴンの赤い血が薔薇になったとの言い伝えもあるそうです。
薔薇の花に本が加わったのは、地方都市の言語を禁止されたことが影響し、言葉や知性を表す象徴が書籍であったということも一因のようです。
実際のところ、このような所以を意識して、地元の本屋が購買を掻き立てるため広めたもので、まさに日本のチョコレート業者のバレンタインデーを意識した発想に近いものがあります。
それが、国際デーにまで指定させたスペインの功績は大きいと言えます。今や、冊子としての媒体は衰えてきましたが、新聞であっても漫画であってもオンラインというメディアが加わり、知性や娯楽に関わる文字情報は不変であると言えます。
本学の図書館では、スペインの本屋のようにはなかなかいきませんが、読書感想文コンクールや選書ツアーなど、学生が書籍というものに関わり続けることで、「させる」よりも「する」という意識の高まりに結び付けることができる意義は、大いにあると思います。
係長(学生係) 中村 周