今日の心がけ~職員のスピーチ~
「故郷に対する意識」
2023.05.31
お盆やお正月が近づくと、「帰省ラッシュ」という言葉をよく耳にします。
多くの人が故郷を離れて、都市部で生活をしている証でもあるでしょう。
総務省が昨年発表した人口統計によると、人口が増加した七都県中、六都県は大都市圏でした。
過密する都市部からのUターン、Iターンを呼びかける自治体もありますが、なかなか成果は出ていないようです。
就職や結婚を機に故郷を離れたという人は多いでしょう。
その中には、都市生活に溶け込み、故郷の記憶が薄れてしまうこともあるのではないでしょうか。
自身の成長や人格形成に影響を与えた故郷に対して、時には感謝の目を向けたいものです。
生まれ育った場所で現在も生活している家族や親戚に思いを寄せる、海外在勤の人は、日本という祖国に思いを寄せるなどしてはいかがでしょうか。
さらに、自分が現在に至るまでの出来事や、両親をはじめ家族に対して、感謝を深めることも、よりよい人生を送る礎となるでしょう。
時には自分の足跡を振り返る機会を持ちたいものです。
今日の心がけ♦故郷に思いを馳せましょう
先日、ゴールデンウイーク渋滞のニュースを息子が見ていた時です。
私が「みんな、こんなにしてまで故郷に帰るんだ、大変だよね。」「我が家は、両方の祖父母が市内にいるから、いつでも会えていいね」と話しかけました。
息子が「でも、小学校の時に、友達がゴールデンウイークや夏休みに、遠くのおじいちゃんやおばあちゃんに会いに行くのを聞いて、羨ましかったよ」と笑いながら言ったのです。
「故郷は遠きにありて思ふもの、そして悲しくうたふもの、、、」で始まる、室生犀星のこの詩「故郷は、遠くにあって思うもので、たとえ乞食になっても帰るところではない」というような内容で、同じ故郷を思うのでも、人によっては、ずいぶんと違うものだなと感じました。
かく言う我が家の息子も、来年から社会人となり親元を離れていくことが決まっています。
この地が故郷となる息子には、自分自身を育み、見守ってくれたこの地や人々の事を忘れることなく、故郷に思いを寄せてくれれば思っております。
食堂 五月女
そうですね。
「ふるさと」も今では日本中どこも同じようになって「ふるさと」と思える場所も減ってきましたね。
しかし心の中では「懐かしさや想い出とともに安らげる場所」として残っていますね。
しかし、そこには「自分の帰りを心待ちにしてくれる人」の存在がなくてはなりません。
風景や家屋などもそうですが、「待ってくれている人」がいなければ「ふるさと」の存在が薄らいでしまいます。
幼い頃にいろいろと教えながらかまってくれた祖父母や父母が待ってくれていることが重要なのです。
このようなことから考えると都会地も「ふるさと」です。
小さい頃、近所のおじさんに「いつ田舎(ふるさとの意味)に帰るの?」と尋ねられたことがあります。
「ここより都会の東京なのに?」と不思議な感情になったことを思い出しました。
当時は義理の祖母も叔父も叔母も元気で「なっとう」や「クジラのベーコン」を用意して待っていてくれたからです。
夏休みなどの長期の休みがほんとうに楽しみでした。
そのうち、待ってくれていた人が亡くなってからは「帰りたい」という気持ちも消えてしまいました。
この後も何度かことような気持ちになったことがあります。
「ふるさと」を思う気持ちは場所やモノではなく、「人を想う」気持ちだと思いますね。
今でも「パンケーキとワッフルとフレンチトーストの用意ができているよ」の電話の声が懐かしく思い出されます。
本学の学生が土曜日や日曜日に尋ねてくれるのも、待っていて喜んでくれる教職員がいるからだと思っています。
本学が学生の心の中で「母校(心のふるさと)」であり続けるためには、学生を想う教職員がいなければなりません。
そんな嬉しい気持ちを保育者になった時に大切に持って子どもたちに接して欲しいですからね。
藤田