今日の心がけ~職員のスピーチ~
箸置きと日本文化
2023.03.06
向田邦子さんのエッセイ本『夜中の薔薇』に、「箸置」と題した文があります。
物書きの友人が、暮らしを楽しもうと仕事を減らしはじめたため理由を尋ねると、「箸置きも置かずに、せかせかと食事をするのが嫌になった」と言ったそうです。
この件で、箸を休ませながら食事をすることが人間の暮らしだと悟らされたと、向田さんは著書で述べています。
箸が日本に伝わったのは、七世紀初頭であり、聖徳太子が中国に遣唐使を派遣し、中国人が箸を使って食事していることを知ったからだといわれています。
その後、神に捧げる食物をとる箸が汚れないように「箸の台」が使われたことが箸置きの由来だといわれています。
食事を「生命をつなぐ神聖な行為」だと、日本人は受け止めました。
その食事を担う箸を大切にする行為として、箸置きが生み出され、独特の美意識から様々な形の箸置きが作られたのです。
慌ただしい現代生活だからこそ、食卓に箸置きを置いて、食を味わうひと時を大事にしたいものです。
今日の心がけ◆美しく食事を摂りましょう
『職場の教養』:一般社団法人倫理研究所より
子供の離乳食までは色々な食器を楽しんだり箸置きを置いていました。
今はどれだけ洗い物を減らすかになってしまい、まとめて出して取り皿がない状態だったり、うつすこともなくそのまま出してしまうこともあります。
そのような状況なので箸置きは置かないでアルコールで拭いてそのまま置くか、茶碗や飲み物の上に置いてしまってたしかに箸置きも置かずに、せかせかと食事をしています。
これをきっかけに今日帰宅したら箸置きを置こうと思いました。
「箸」と聞いてすぐに日本料理の「箸休め」「箸洗い」や洋食のコース「グラニテ」が頭に浮かびますね。
しかし、食べ物ではなく、箸の使い方だと聞くと「さぁたいへん」です。
やはり、割りばしで良いと思ってもこの割りばしにもきれいな割り方があるそうなのです。
このように「箸」のマナーには我々日本人は頭を悩まします。
子ども時代に食べるのが嫌になるくらい箸の持ち方を厳しく教えられますね。
やっと持ち方が鉛筆の持ち方ができるとなると今度は「箸遣い」のマナーです。
この「箸遣い」のタブーというものが20近くあると聞いて、日本食はヤメたい、西洋料理でと思ったものです。
ところがどっこい、そうはいきません。
ナイフやフォークの種類や持ち方から置き方、そして食べ方や飲み方、ナプキンの使い方、飲み物の頼み方などなど洋食もカンベンとなります。
このように洋食もナイフやフォーク、スプーンはじめ場に慣れるまでがたいへんです。
やはり、箸で和食と思っても今度は椀の持ち方などのマナーが待ち構えています。
そこで「箸」だけに限ってと思っても、持ち方や置き方、使い方にマナーがあります。
最低限の箸のマナーは縦に置かずに神聖な領域と人間界を分ける意味からフォークやナイフと違って横向きに置く。
その置いた橋は箸先が左側に来るように置く。
箸をとるときは右手で取り、左手で支え、右手に収める。
箸を置く場合には、お椀の上などに置かない(渡し箸)で、必ず「箸置き」に置く。
慣れるまでは気を使って、美味しい料理も食べた気がしません。
はやく箸置きのある食事を味わいながら食べることができるようになりたいものですね。
息の抜けない職業、保育者を目指す学生をサポートする我々教職員は忙しい中にもゆとりある態度で臨まなければなりませんね。
藤田