2012
07.16
すとう先生(本学「こども学」担当講師)の新刊が出ました
梅雨明けも間近、学生の皆さんが植えたプランターの夏の花々も一層色濃く育ってきているようです。これまで育てたのはミニトマトやバジルなどおなかを満たすものだけ、という私より、皆さんは冷たいようで温かい土いじりの感触や、自分の寄せ植えの成長を日々見守る気持ちなど、植物に関するさまざまな経験を得ていると思います。
そんな皆さんにぴったりの新刊『タネオがきた』を、児童書作家としても活躍されている、すとうあさえ先生が寄贈して下さいました。
小学4年生のタミオは、ひいじいちゃんが大好き。しかし、熊本から東京に引っ越す直前、ひいじいちゃんは病に倒れ半身不随となってしまいます。後ろ髪を引かれる思いのタミオは、ひいじいちゃんが大切にしていた大クヌギの実を育てれば病気が回復すると信じ、たくさんの実を抱えて東京へ旅立ちます。多くの人に実を育ててもらおうと奮闘、「タネオ」とあだ名をつけられるほどのタミオの熱意は、新しい友人を動かし、さまざまなかたちのクヌギの芽吹きをもたらします。
本書は、子どもたちが植物を育てる喜びを知る様子とともに、次世代である子どもたちの成長を温かく見守る大人の視点も描かれています。ひいじいちゃんのために必死にがんばるタミオの姿は、決して恵まれない環境の東京で芽吹こうとするクヌギの実に重なります。寄贈本に添えられたすとう先生の「埼玉純真短期大学のみなさんへ!! おおきくな~れ!!」というメッセージには、いずれ本学を離れる皆さんそれぞれが、新たな場所で根をおろして成長していくことを願ってやまない気持ちが込められていると思います。
今回、タミオよりもひいじいちゃんに感情移入してしまったことに多少ショックを受けた私ですが、次世代である皆さんを陰ながら応援していきたいと感じました。是非図書館に来て、本書を手にしてみて下さい。
図書館司書 宮本明子