今日の心がけ~職員のスピーチ~

いのち

2019.04.17

倫理研究所を創設した丸山敏雄は、昭和21年に「しきなみ短歌会」という短歌結社を作りました。ちょうどその時期に作られた、「いのち」と題する歌を紹介しましょう。

  かかげなば 八千代を照らす 明星ぞ 捨てなば靴に ふまれん石ぞ

「自分の命の素晴らしさを高く掲げれば、この世を長く照らす明星のような希望の星にもなり、反対に、つまらないものだと卑下すれば、その辺にある小石のように、人に踏まれてしまうものとなってしまう」と詠ったものです。

  うるほへば 千草の緑 薫る野辺 枯れてぼうぼう 万里の砂漠

「豊かな命を広く周囲に潤してゆけば、沢山の草が生い茂る豊かな大地となるが、枯れてしまえば、荒涼とした砂漠のようになってしまう」という意味です。

この頃人々は、日々を生きることに必死でした。
食べ物も住まいも衣類も極端に不足している時にあって、敏雄は、誰でも必ず持っている「いのち」の素晴らしさを自覚することにより、生き方に天地の差が出てくることを説いたのです。

今日の心がけ◆「いのち」の尊さを自覚しましょう
「職場の教養」(一般社団法人倫理研究所より)

昭和21年とは、戦後間もない時代で、必死さを求められる“精神論”を地で行くような世の中であったことが窺えます。

ここに紹介されている歌も、「いのち」をテーマに、対極に表現していることから、その日々を理解できます。

それに対して現在は、平和であり、豊かであることが当たり前の日常です。

先日、東京大学で行われた学部入学式での、上野千鶴子先生の祝辞が話題になっています。
全文がホームページに公開されているので、見たところ、なかなかの長文ですが、聞き入ってしまう名文です。

この中の一文に、「フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。」とあります。

生きることに必死な環境であれば、誰もが強者を目指すでしょう。
そういう意味では、“弱者が弱者のままで尊重される”ための環境は整いつつあるのかもしれません。

ただ、時代や環境が変わっても、「いのち」のあり方は変わりません。

事務局 係長(進路支援担当) 中村 周

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