今日の心がけ~職員のスピーチ~
息子の後継に
2020.08.03
A子さんは夫と二人で、およそ三百年続く、由緒ある漆器をつくる製作所を営んでいます。
近々、十五代目の夫の跡を長男が継ぐことになりました。
しかし、A子さんは、長男に対して負い目がありました。
それは、伝統工芸品を守るために東奔西走し、家庭のことを疎かにしてきたことです。
それが原因かどうかはわからないものの、長男は中学生、高校生となるにつれ問題行動が増え、
A子さんは何度も学校に呼び出されました。それだけに、無理やり家業を押し付けているようで、
後ろめたさを感じていたのです。
ある日、友人に息子の話をすると、思いがけない言葉が返ってきました。
「確かに、当時の息子さんは荒れていて、大変だったと思う。
けれど、様々な経験をして、人として成長できたんだろうね。
それで、迷惑をかけた分、〈両親のために〉という思いで継いでくれたんじゃないのかな」
A子さんは、友人の言葉を聞いて、胸が熱くなりました。
それと同時に、〈夫と長男と一緒に、伝統工芸を守っていこう〉と心を新たにしたのでした。
今日の心がけ◆友人や知人の言葉に耳を傾けてみましょう
(『職場の教養』:一般社団法人倫理研究所より)
思い込みはよくあることで、それが身内のこととなると、自分しかわからないと思い悩む事があります。
しかし他人に思い切って打ち明ける事で「何を悩んでいたんだろう」とあっさり解決し、気持ちが軽くなります。
今はコロナ禍で接触を避けなくてはいけない為、
「距離を持って話をする」「電話やメールで要件を済ませる」「オンライン会議を利用する」等々、
人と人との関わりが薄くならざるを得ない時代となっています。
そのため相手の様子や雰囲気を感じ取ることが難しい時もあるかもしれません。
そんな今だからこそ、こまめに連絡をしたり、相手の言葉によく耳を傾けて、
友人や家族の言葉を大切にしていきたいと改めて思いました。
教務係 田口